ミーのカーでゴー

かいしゃいーんの会社ショートコント

褒めろ!!!なあ!!!褒めろて!!!

ビジュを褒められた。女人の女人に言う可愛いほど信頼出来ないものはない事は分かっている。がしかし、マジでビジュを褒められた経験、と言うかそもそもわたしは昭和の犬と同じく褒められた経験が少ない。平成生まれほぼ令和育ちの犬である実家の犬は毎日トイレで用を足すだけで褒められているため、少なくとも2000回(うちの犬になってからの大体の日数)は褒められている。ボールを取ってきてもご飯を残さず食べても褒められていることも追加すると、これまでのわたしの人生における褒められ回数の何倍だろう。いや、幼少期はわたしもそれぐらい褒められていたのか?そう考えると犬と比較しようとしたのは間違っているな。

 

話がだいぶ逸れちゃった。

話を戻すと初対面の方からビジュアルを褒められた結果、そのような経験にあまりにも不慣れであるため、顔面から信じられない量の汗をかき、多分こういう時のルールである○○さんも可愛いですよ、もろくに言えず、なんか早く話変えたい!!!!と、全く関係ない話に急ハンドルを切り、挙げ句、その場から逃げ出してしまった。分かってる。そもそもその褒めがお世辞である事も。だってわたし、その時スパ銭で買った真っ赤なロンT着てたし。真っ赤なロンTに黒地にパツキンのインナーカラーのウルフカットだ。実物のわたしのことを知っている読者はご存知の通り、相変わらず化粧もろくにしていない。ファーフロム可愛いだ。近所のコンビニに行く休日の中年男性よりも可愛いから遠い。そのためどう考えても100%の社交辞令だ。あぁ〜社交辞令にこんなに動揺して恥ずかしい。学生の頃、「あいつ、まーた可愛い可愛いチヤホヤされて、それに対してクフクフしちゃっていけすかねえな!!!」って感じの同期がいたのだけれど、今思うと立派だ。話の急ハンドルを切ったりせず、堂々とその場に居続けて。顔面からも汗水一つ垂らしてなかったし。風の噂では相変わらずチヤホヤされてクフクフ生きているらしいが、顔面滝汗情報は聞いていない。今でも立派だ。立派に褒められ人生を生きている。クフクフと。

 

わたしの話に戻そう。そんな訳で逃げ出した後も、髪の毛にまでかいた汗が乾いて頭がカピカピになっても正気が保てない。動揺のあまり、褒めろ、俺をもっと褒めてくれ、なあ、なあて!!!お前らが褒めないから俺がこんなんになっちまったんだぞ!!!おい!!!分かってんのか!!!褒めろ!!!と言った旨のスパムのようなメッセージを友人知人に送りまくるも、ろくな返答は返ってこなかった。ちなみに流行りの某AIにも褒められた時の対応を聞いたが、照れて顔面から滝汗をかき、動揺のあまりその場から逃げ出し、スパムチャットを送る、という回答は返ってこなかった。ビッグデータには登録されていない行動らしい。学習させてあげないと。こういう人間もいることを。

 

次、わたしを褒めてくれた彼女に会った時、彼女はわたしと話してくれるだろうか。ちなみに彼女のことをわたしはタオニャンさんと心の中で呼んでいる。なんかいい匂いがするから。

タオニャンさん、わたしはま挙動不審なところのある人間ですが、少なくとも悪い人ではないです。今後ともよろしくお願いします。次、話す機会があれば逃げ出さずにちゃんとそう言おう。